昼食を摂りに昼休みに帰宅すると、テーブルの上で腕時計が日射しを浴びていた。
先日、今勤めている会社から貰ったものだ。
仕事でコラムを何本か書いていたら、ありがたいことにそれを表彰された。
副賞として貰った時計は、デザインを選ぶことが出来たので、いつも迷惑をかけている実母に似合いそうな物を選んでおいた。
電波ソーラー時計なので、電池交換も時間合わせも不要。
頂いて半月経つが、実母がつけている姿は見ない。
たまに箱から出されて充電されているのみ。
大切にしてくれているらしい。
会社で書いたコラムの、書きたての物を最初に読むのは亭主より実母。
帰宅してすぐに鞄の中から「今日の作文～」と言っては手渡していた。
特に感想や意見は言われないが、彼女の引き出しの中は、私のコラムでいっぱいになっている。
見守ってくれるだけでも読者の存在は嬉しいものだ。
そんな実母ももう75歳。
迷惑をかけっぱなしの娘一家をいつまでも見守っていてほしいと願うのはわがままだろうか。
いつまでも太陽の光を浴びて動き続ける時計のように元気でいてほしいと願うのはわがままだろうか。