北九州から羽田に向かう飛行機の小さな窓から陸地が見えた。
緑で青々とした陸地。
豆粒以下の小さな家々。
森の真ん中を茶色の線が貫き、それはやがて海に注ぎ、海面に茶色の帯を作っている。
茶色…?
気になって、機内誌の小さな日本地図を広げ、地形を符合させる。
徳島。
茶色の線は吉野川か。
海に近づくにつれ、広がっているライン。
大雨で押し流された土砂が海に流れ込んでいた。
そしてそれは対岸(というほど短い距離ではないのかもしれないが)の紀ノ川も同様。
茶色の線と、海に広がる帯。
和歌山、紀伊半島は大雨だと、出発前にテレビで言っていた。
あの茶色のラインのどこかにGWに行った吉野川遊園地がある。
ウロウロした筈の場所をはるか上空から眺める。
今は晴れているようだが(だから上空から様子が見えるのだが)、茶色の線が大雨だった様子を伝える。
それを上空から眺めていると、妙な気がした。
機内から見ると、本当に小さな世界だ。
陸地を走って行くと遠い土地も、掴めそうに小さい。
地上のあちこちで起こっているトラブルやもめ事、テロとか紛争も、上空から見れば小さいのかもしれない。